仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

「人間らしい死に方」

Original Titelは、'How We Die'で、和訳は売らんかなで、内容と、離れています。内容は、原題の通り、「我々は如何に死ぬか」です。

患者の命を救うという職業に生涯を捧げ、それに誇りを持った医師が書いています。9,000人余りの死を見てきて、人間は楽には死ねない。大部分のケースは、人によって期間は異なるが、数か月、数週間、数日の苦しみを味わう。死の直前に、ようやく、苦痛から逃れるケースは、確かにあり、それは、脳内に主としてエンドルフィン等の麻酔のような作用を持つホルモンが分泌されるからだ。安らかに死ぬケースもあるが、それは、まれである。

以上のように冷たく、言いきっています。瀕死の患者を救えないのは医学の敗北だという立場が、多くの経験の後、延命措置には否定的にかわってきたそうです。また、高齢の人に対する治療、ガン等に対する治療に関しても、あくまで、どのような治療をするかは、患者とその家族の決定に任せるべきで、医師は、慎重であらねばならない。安楽死については、条件付きで賛成の立場で、どのようにして実行し、患者はどのようにして死に至るかまで書いてあります。

死ぬことは、やむをえないことで、それは納得せざるを得ない。著者も書いていますが、個人の死は、人間という種の一員として、他者に道を譲ることが自然であり、必要です。しかし、かなりの期間、死ぬ前に苦痛を味わうのは、つらいですね。

死に至る病の代表的なものに対する説明、そして、老衰に対しての説明も詳しく、自分がそのような病気なったとき、あるいは、老衰の場合も、どのようにして死に至るか、思い描けます。そういう意味では、気持ちの備えになりますが。。。

精神論ですが、どう生きるかが、どう死ぬかにつながるとは書いています。。。誇り高く生きても、苦痛を避けられる確率は低い。しかし、誇り高く死ぬことはできるかもしれない、という意味です。