仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

The Namesake

Jhumpa Lahiriの小説。スリランカに戻る機中で読み終わりました。インド(カルカッタベンガルの世界)からアメリカに移住し、そこで二人の子供を育てた夫婦の30年史です。最初に生まれた男の子を中心に物語は展開します。詳しくは、アマゾンのサイトをどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/Namesake-Jhumpa-Lahiri-ebook/dp/B00I7JO1O2/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1461098536&sr=1-1&keywords=namesake

男の子は仮の名前として父親が好きなロシアの作家にちなんでGogolと名付けられました。それがタイトルのthe namesakeです。ベンガルの慣習である正式の名前は、インドからアメリカに郵送される途中で失われ、仮の名前が本名となるわけです。男の子はその名に反発して生きるわけですが、何人かの女性との出会いと別れ、そして、父親の死去、結婚と離婚の末に、父親からの誕生日プレゼントに貰ったGogolの本に戻るというお話しです。

Nikolai Gogol という作家はロシアのディッケンズとも言われ、ドストエフスキーも敬愛した作家のようです。'The Overcoat'が一番有名な作品のようで、その大切なOvercoatが失われて出てこないという所と、この小説の主人公の本名が失われた点が類似しています。作家はその点を十分意識したと思います。

http://www.amazon.co.jp/Overcoat-Nikolai-Gogol/dp/1473322286/ref=sr_1_9?s=english-books&ie=UTF8&qid=1461147833&sr=1-9&keywords=gogol


移住した人は、人にもよるでしょうが、自分のidentityに悩むわけです。言語、そして、伝統文化です。Ms. Lahiriも勿論同様で、ベンガル語と英語、インド文化とアメリカ文化のいずれに自分は属するのか、あるいは、大切に考えるべきか悩んだようです。

そして、どちらも捨てて、新天地のイタリア語、及び、その文化に自分を賭けるという大胆なことをします。そのことを2016-04-12に書きました。(http://d.hatena.ne.jp/toeic990/20160412)