仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

A Happy Death / La mort heureuse

帰りの機中でカミュの英訳を読みました。以下のリンクに無料のがあります。それをコピーしてKindle 版に変換して、読みました。

http://centretruths.co.uk/fahdtu/A%20HAPPY%20DEATH.htm

以前、フランス語の原文を初めの1章だけ読み、衝撃を受けました。その衝撃で再度、生死を考え、このままの生活を続け、コロンボで朽ちていいのかとの思いが生じたわけです。そして結局、今、コスタリカにいるスタートとなりました。

http://d.hatena.ne.jp/toeic990/20170723

原本はフランス人の母親を持つ友人に進呈しました。もう、原文で読むことは時間的に無理なので、英訳で読みました。

死後出版で、しかも若い時の作品、荒削り、考察、表現不十分も感じますが、カミュの原点であることは、論を待たないでしょう。

テーマは幸福な生死です。幸福論はショーペンハウエルの影響を強く感じます。米人フランクリンの逆で、Money is time. がスタート。 金が可能にする自由時間で、幸福を追求する事ができる。では、幸福に生きて、幸福な死を迎えるということは、どういうことで、どうしたらそれが可能なのか。それがテーマです。

ショーペンハウエルは、幸福とは苦痛のない状態だと規定し、幸福な死については言及していないと思います。カミュは赤貧の家庭に生まれ、若くして結核にかかり、死を常に眼前に見つつ生きたわけで、死とは何、どう生き、どう死ぬかが、カミュの文学、哲学の根底にあると思います。そこが、同時代のサルトルとの大きな違いです。

主人公は大金持ちの不具者から殺してくれと依頼を受け、彼を殺し、大金を手にし、幸福な生死を追求します。そして最後は、若くして結核で死ぬ。それは幸福な死だ、と、ほのめかしていますが、考察、書き込み不十分と感じます。KGBによる他殺という説もある交通事故に会わず、長生きして、このテーマ、この作品を追求して欲しかった。残念ですね。時間があれば原文でじっくり読みたいですが。。。。これも残念。。。。