仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

対談・人間のゆくえ


風濤社とういう出版社が1975年に企画し、対談は1976年に行われ、引き継いだ新泉社が1979年に出版。
人間存在そのものについて検討し、人間はいかに生くべきかを提起しようという企画で、渡辺、野間氏が対談、以降に、追加、編集を加えて出版したもの。

野間氏が自然科学、特に分子生物学についても良く勉強し、その疑問点を渡辺氏に確認しているような印象でした。野間氏は文学畑であるにもかかわらず、科学、社会学、哲学等、広く深く勉強しているのには感嘆。「真空地帯」「青年の環」は、書名のみは知っていますが、読んだことはありません。とてつもなく長い小説のようです。

結論的な提起はなく、人間と社会あるいは環境との関係における問題点がいろいろ論議されていました。面白かった渡辺氏の発言の二つ、以下。

現代社会には今までにはない人間が増えつつある。それは「新人類」と呼べるかもしれない。医学等の進歩により、少し以前ならば死んでいたはずの老人が生き残り、同様に心身の障害者も増えてきている。後者には環境による影響も考えられる。それら新人類を、社会は、どう受け入れるべきか、検討が不十分。

(上記の一部かも知れませんが特に)自己という概念について、自己は一つでなければならないのか?今日はある人格で、明日は違う人格でもいいのではないか。人間のアイデンティティーは必ずしも一つに限らないのではないか。意識の連続性がないと人間ではないと見られますが、それが正しいかどうか疑問。(注、私の個人的意見。これは心の障害者、精神分裂症のことを言っていると思います。分裂症は脳内ホルモンのバランスが崩れた状態ですが、社会環境や遺伝子の影響で起きるそうです。遺伝子にそのような状態が書き込まれていることは異常と言えるのか。バラエティーの一つなのか。放射能等公害で起きた遺伝子破壊なのか)

渡辺格の他の本は一冊このブログに載せました。

http://d.hatena.ne.jp/toeic990/20160129