仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

Inheritance (12/104)

1947年"New Worlds, no.3"で初出版。"Expedition to Earth"に収録。(アーサーC.クラーク、 Arthur C. Clarke)

一人の大胆不敵なテストパイロットが2段式ロケットの操縦室にいた。飛行は順調だったが、一段目のブースターロケットが切り離せず、2段は結合されたまま慣性で上空に飛行を続ける。落下まであと7分と計算したパイロットは船外に出て、パラシュートを引出し、軟着陸できる状態にする。そして自分は、地上に落ちる寸前に脱出し、人間用のパラシュートで無事地上に降りる。

戻った彼は二人の同僚に、自分の妻にも話していない秘密を話す。それは、自分が二人の同僚と一緒にロケットの操縦室のようなところにいる夢のことだった。その中で、自分は同僚に「あと5分だぜ」という。これは自分たちの最後を意味する予告であり、このような事態が起きない限り、自分は何が起きても大丈夫だという、心の支えになっている。そして一人は二人の同僚のうちの一人に似ているようだったとも話す。

そして、それ以降も、彼は危険を顧みず、その夢を信じて、仕事を続ける。しかし、ついに事故は起き、彼は帰らぬ人となった。

二人の同僚は未亡人と息子に会うために彼のなき家に行く。そして今後のことを話し合っているときに彼の息子が帰ってくる。一人は息子を知っていたが、死亡した父親にそっくりなのに驚く。帰ってきた息子はもう一人を見つめる。その様子は、あたかも、どこかで会ったことがあるが、どこだったかを思い出せないようであった。

死亡したパイロットは、自分の息子は建築家になると言っていた。しかし、そうはならないであろうことを、そのとき、同僚は知る。

(注)一読して、意味が全然わかりませんでした。しかし、再読して、タイトルのInheritanceで、わかりました。操縦室で二人の同僚に、終わりまで「あと5分だぜ」と言う夢が、息子に遺産として引き継がれたわけです。息子は建築家でなく、父親のあとをついで、テストパイロットになる運命なのでしょう。