古代南インドのタミル文学の全盛期の頃の歴史を、主として文学から史実を推定する方法論で展開している本です。
異論はあるようですが、大野晋が主張する日本語の源流としてのタミル語と、その背景としての歴史・文化に興味があり、読みました。
単語と文法(文章)構造からして、日本語の成立にタミル語及びその文化が大きく関わっているという主張を大野晋はしています。
特に私の興味を引いているのは、古代タミル文学の韻文が五七五七七の韻を持っていて、それが日本の短歌の源流ではないかという説です。中国や韓国の韻文には、そのような韻はないとのことです。また、古事記、万葉集等で意味不明であった語句が、タミル語に当てはめると明解にわかるとも書いています。