仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

芹沢光治良031

「懺悔紀」読了。昭和21年9月出版。読んだのは作品集全16巻の第3巻の初めに収録されているもの。この第3巻には他に「孤絶」と「離愁」が収録されています。

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あくまで小説ではありますが、作者と同じような境遇(両親が天理教に全財産を捧げて出家)の弟を信仰の道に戻して欲しいと、その弟の姉が作者に頼みに来るところから始まります。作者はその弟と会い、親しくなり、身の上話を聞きます。彼は、亡くなった初恋の人の息子を引き取って介護しています。その子は小児麻痺で体が不自由で、終戦近くの状況で自分が不甲斐なく、自殺します。介護していた弟は失意のどん底に落ちます。そして、しばらく音信不通の後、作者が、再訪すると、その弟は、いわゆる在家の信者のような形で、地域に密着して生活していたというお話。

作者はあくまで自分は天理教の信者ではないが、漠然とした、神のような存在は信じていると言っています。