仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

038 Thoughts of Phena

第一詩集  "Wessex Poems"  「ウェセックス詩集」

038 Thoughts of Phena
         at the News of Her Death

フィーナへの思い
     彼女の訃報に接して

http://youtube.com/watch?v=e9SxrqIVS-o

   Not a line of her writing have I
     Not a thread of her hair,
No mark of her late time as dame in her dwelling, whereby
      I may picture her there;
And in vain do I urge my unsight
      To conceive my lost prize
At her close, whom I knew when her dreams were upbrimming with light
And with laughter her eyes.

  彼女の書いた文(ふみ)ひと文字、髪ひと筋
     私は持っていない。また私は
婚家(こんか)での彼女を思うよすがになるような 家庭の主婦としての
     彼女の晩年の形見も何ひとつ持っていない
  だから 彼女の夢が光であふれ、彼女の眼が
     笑いであふれていた頃に私が見慣れていた
私の失われたこの宝物の臨終の姿を 思い描けと 私の無視覚(アンサイト)に
     命じては見るものの、所詮 それは無理
     

What scenes spread around her last days,
      Sad, shining, or dim?
Did her gifts and compassions enray and enarch her sweet ways
      With an aureate nimb?
Or did life-light decline from her years,
      And mischances control
Her full day-star; unease, or regret, or forebodings, or fears
      Disennoble her soul?

   どのような情景が その最後の日々に繰り広げられたのか
      悲しみなのか 光輝か それとも薄闇か?
人に贈り物をしたり同情したりするとき 彼女の愛らしい仕草には
      金色の 輝きと アーチのある 後光が射しただろうか?
   それとも彼女の年月からは 生命の光が弱くなり
      満月の相に達した彼女の昼の星を 災厄が
支配したのか? 不安、悔恨、凶事の兆し、恐れなどが
      彼女の魂の高貴を奪ったのだろうか? 

Thus I do but the phantom retain
Of the maiden of yore
As my relic; yet haply the best of her - fined in my brain
It may be the more
That no line of her writing have I,
Nor a thread of her hair,
No mark of her late time as dame in her dwelling, whereby
I may picture her there.

March 1890

   このように私は、往昔の乙女の幻影のみを
      自分用の遺品として保持しているが
しかしひょっとしたらそれは - 私の胸だけに秘蔵された 彼女の
      遺品の最良品かもしれぬ、他の遺品がないのだから
   なおさら最良、彼女の書いた文ひと文字、髪ひと筋
      私は持ってはいないから。また私は
婚家での彼女の姿を思うよすがになるような 家庭の主婦としての
      彼女の晩年の形見も何一つ持っていないから。

   1890年3月


*****

この詩は第一詩集  "Wessex Poems"  「ウェセックス詩集」の中の一つで、朗読は、Mr. Bruce Alexander です。

PhenaはHardyと関係のあった実在の女性です。どのような関係だったのか、はっきりしたことはわかりません。彼女はHardyの従妹だったとか、姪だったとか、二人の間には私生児がいたとか、いろいろ説があるようです。Hardyが正式に結婚した女性との間には、子供は、生まれませんでした。

Hardyは晩年、手紙等、自分の私生活に関するものは全て焼却しました。たった一人だけ、真実を打ち明けた人物がいたようですが、彼も、絶対に口外することなく、秘密を守ったまま、亡くなりました。

以下の二つのリンクは、Tryphenaに関する情報です。

http://dorset-ancestors.com/?p=1776

https://en.wikipedia.org/wiki/Tryphena_Sparks

以下のpamphletは、私が50年前にDorchesterを訪れた時、そこのMuseumで購入したものです。

以下、別の朗読です。

http://youtube.com/watch?v=Ydg-Dh9NUe4