仏語再勉強の軌跡

フランス語の本が楽しめるようにするのが今年の目標

001 Domicilium

われらが住まい

http://youtube.com/watch?v=uvVHsfSdKMc

It faces west, and round the back and sides
High beeches, bending, hang a veil of boughs,
And sweep against the roof. Wild honeysucks
Climb on the walls, and seem to sprout a wish
(If we may fancy wish of trees and plants)
To overtop the apple-trees hard by.

   それは西向きで、その裏側と両側面をとりまくように
   丈高いブナの木々が曲がりくねり、大枝をヴェールのように垂れて
   屋根を掃くようにこする。野生の匂い スイカズラ
   方々の壁に登り、これらは(もし僕らが木々や植物の
   願いというものを想像してよいなら)ほんの近くのリンゴの木々より
   高くなりたいという願いを芽吹かせているように見える


Red roses, lilacs, variegated box
Are there in plenty, and such hardy flowers
As flourish best untrained. Adjoining these
Are herbs and esculents; and farther still
A field; then cottages with trees, and last
The distant hills and sky.

   赤い薔薇、ライラック、多彩色のツゲの木が、
   そして人工的に仕立てないほうが良く育つ 寒さに強い花々が
   そこにはふんだんに生えている。これらと隣り合って
   ハーブ類や食用植物。そしてこれより先には
   畑が一つ。その向こうには木々に囲まれた農家、
   その果てに、遠い岡と空


Behind, the scene is wilder. Heath and furze
Are everything that seems to grow and thrive
Upon the uneven ground. A stunted thorn
stands here and there, indeed; and from a pit
An oak uprises, springing from a seed
Dropped by some bird a hundred years ago.

   裏手では 景色はもっと自然のまま。起伏する地形の上では
   ヒースと針エニシダだけが そこに生え育っている全てで
   あるように見える。いや実際には、小型に刈り込まれた茨が
   あちこちに立っている。それに、地の凹みの中から
   樫の木が一本 生えている。百年前に どんな鳥だか、
   落としていった種子から生い立ったものだろう


                 In days bygone --
Long gone -- my father's mother, who is now
Blest with the blest, would take me out to walk.
At such a time I once inquired of her
How looked the spot when first she settled here.
The answer I remember. 'Fifty years
Have passed since then, my child, and change has marked
The face of all things. Yonder garden-plots
And orchards were uncultivated slopes
O'ergrown with bramble bushes, furze and thorn:
That road a narrow path shut in by ferns,
Which, almost trees, obscured the passer-by.

              過ぎ去った日々には −−−
   遠く過ぎ去った日々には −− 今は天国の諸聖人とともにある
   父方の祖母が わたしを散歩に連れ出してくれたものだ
   そんなあるとき、わたしは祖母に尋ねてみたことがある、
   初めて祖母が住みついたとき ここの様子はどうだったかと。
   祖母の返事を覚えている、「その時から もう
   五十年が経ったのよ、坊や、だから何もかも
   姿が変わってしまったわ、あそこの野菜畑と
   あのくだもの畑は まだ耕されていない斜面だったの、
   木苺の繁み、針エニシダと それに茨が一面に茂っていたわ
   あの通りは歯朶(シダ)の葉で隠れてしまう小道だった
   木のように大きな歯朶の葉かげに、道行く人も見え隠れしたものよ


'Our house stood quite alone, and those tall firs
And beeches were not planted. Snakes and efts
Swarmed in the summer days, and nightly bats
Would fly about our bedrooms. Heathcroppers
Lived on the hills, and were our friends;
So wild it was when first we settled here.'

   「我が家は一つぽつねんと立っていたの、あの高いモミとブナの
   あの木立も まだ植えられてなかったわ。蛇や井守が
   夏の日には うようよいたの、そして夜には蝙蝠(コウモリ)たちが
   おばあちゃんたちの寝室の辺りを飛んだものよ。野生の馬が
   岡の上に住んでいて、この馬たちだけがおばあちゃんのお友達だった、
   私たちが初めて来た頃は ここは それ程の荒れ地だったの」


- - - - -

この詩は、八つの詩集には含まれていませんが、James Gibsonの'The Complete Poems'の先頭に収録されています。

私は50年前にこの地を訪れました。11月の寒い日でした。家の裏手のうっそうとした雑木林の中に小径があり、歩くのは、まるでトンネルの中を行くような感じ、路には落ち葉が数センチの厚さで積もっていました。トンネルを抜けて辺りをぐるりと巡り、そしてまた、家のところに戻りました。

家の右手には、いわゆるRoman Roadがまっすぐに伸びていました。2000年前にローマ人が作った道路がそのままに残り、路面は石灰岩を砕いた小砂利のようで、白くまっすぐに続いていました。道路が小川にかかると小さな石橋があります。こんな1メートル程の構造物が2000年も連綿として使われている、驚きでした。

50年後の現在はどうなっているのでしょうか。英国の田舎ですので、あまり変わっていないとは思いますが。。。