著者は、4歳までインド(カルカッタ)に暮らし、以降、家族と共にアメリカに移住。家では両親とベンガル語、外では英語の生活を送る。英語で本を書き、ピューリッツァー賞その他の賞を受けるほどの人気作家となる。しかし、大学卒業後旅行したイタリアの印象深く、イタリア語の勉強を始める。
それは謂わば恋のようなもので、とうとう40才を過ぎてから、夫、子供をつれてイタリアで生活し始める。そして、すでに成功している英語での物書きを捨て、イタリア語で読み、書こうと懸命の努力をする。そして、友人となったイタリア人たちの助けは借りるが、イタリア語で書いた本の出版にこぎつける。
母国語でない言語で文学作品を書いている作家はいろいろいますが、皆、そうする必然性、必要性があってやっている。著者のように、すでに成功している言語をすて、表面的には全く必然性のない言語に挑戦して、ものを書こうという例は、ないのではないでしょうか。実に興味深いですね。
この本は左がイタリア語、右が英語になっていて、私はイタリア語は分かりませんので、右側だけ読みました。スリランカで知り合ったイタリア人に誕生日のプレゼントとして進呈する約束をしています。この本のイタリア語を読んで、彼がどんな印象を持つか、聞くのを楽しみにしています。
彼は、一緒にタミル語のコースに通ったクラスメイトです。彼から、彼が好きなナラヤンという作家のことを聞きました。ナラヤンは、インド・タミルの作家ですが、母国語のタミル語ではなく、英語で書いて、成功しています。ナラヤンは私も何冊か読み、好きな作家となりました。この本の作者であるJhumpa Lahiriがナラヤンの一冊の本の序文を書いています。面白そうなので注文しました。いずれ読み、感想を書きたいと思います。
この本の日本語翻訳も出版されています。インターネット購読している産経新聞の書評で知りました。